京王線の郊外にある、なんの変哲もない駅を降りる。車も人もまばらで、いかにものんびりした町だ。何軒もない商店街を抜け、坂をくだる。今年も期待を裏切らない枝垂れ桜が、まるで映画のセットのように咲き誇る。だれもが思わずレンズを向けたくなるようなリッパナ桜だ。それもその筈、原木は身延山久遠寺に咲いていた桜を、頂戴してきた。そのさくらの原木は、やや中央に存在している。申し遅れたが、そこは戦後建立されたお寺で、なんでも明治時代の大将が眠っている。山門がそれは立派で、黒沢明の映画、羅生門のモデルとなったようだ。5本ほどの枝垂れ桜がそれぞれ特徴を持ち、色合いも違う。地元の人が多く、この桜の存在を知る人は少ない。皆カメラ・スマホで心ゆくまで撮影をしている。私のお気に入りは、45度の石段を登った、山門からがベストショットだ。東京の染井吉野が5分咲きの頃が満開となる。場所を知りたい方はメールをください。本心は教えたくない。