価格競争はこの世の常だが、以前は現在のように無政府的ではなかった。表面上の原因は、すべての業種で通信販売による、低価格の販売が台頭したことが一つの要因だろう。印刷業界でもここ数年、ネットの普及に伴う、通販会社の出現が業界を震撼させている。根本的な要因は国の政策という根深い所にあるが、そのことは又の機会とする。印刷通販の価格の平均は、これまで50,000円で制作してきた印刷物が、15,000円くらいで販売されている。やがてその価格が、あたかも世間では常識と認識されるようになってしまった。一般消費者にとっては、商品が安価になることは喜ばしいことだが、各々の業種では死活問題となる。当然印刷会社にとっても価格競争へと追い込まれ、大問題となった。経済全体の落ち込みもあるが、印刷業界では、低価格の煽りをまともに受け、世代が継承出来ない会社が増加すると共に、中小・零細では廃業や倒産が増加するようになった。所詮資本主義は、弱肉強食が基本で、自己責任を強要する制度といわれるが、このままでは、中小・零細企業は再生産も不可能となってしまうだろう。