夜は冷たい雨と風がテントを打ち続ける。寒さで目を覚ますと4時、ゴソゴソとテントを出る。夜中降っていた雨はスッカリやみ、雲一つない空を見つめていると、少しづつ明るさを増してくる。しばらくその光景を眺めていると、仲間も気配を察したのか、起きてきた。ここは神割崎と言って、昔からの伝説がある。「二つの村があったとさ、ある時クジラが浜に打ち上げられ、取り合いとなり、村どうしで喧嘩となっちまった。すると雷鳴と共に現れた神様が、岩とクジラを二つに割ってしまった。それからと言うもの、ここを境に二つの村は仲良くなったということだ」その神割崎へと歩を進める。波が来て二つの岩の間を波しぶきが豪快に抜けてくる。時季が合えば割れ目から、朝日が差し込むところが見えるらしい。高台に移動すると、まさに朝日が昇るところだった。